<開催終了>特別展 祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ

特別展 祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ

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漱石『心』(岩波書店2014年)

「うまくいかない喜び」を軸に活動を展開するグラフィックデザイナー、祖父江慎(そぶえしん)氏。その独特な感性と鍛え抜かれたデザイン力により常に私たちの意表を突く作品を世に送り出してきました。本の中身・内容をいかに伝え、読者に訴え得るかが装丁やブックデザインの基本ですが、優れたデザインはその本の世界をより魅力的に語ります。本展では祖父江氏と氏が主宰するコズフィッシュのブックデザインを通して、フィジカルな「本」の魅力を探ります。デジタルデバイスの登場によりすっかり様変わりした感のある私たちの読書環境。そんな中、本がどのように作られるのか、そのプロセスを追いながら、紙の本だからこその表現を求めて1冊に込められる情熱に迫ります。

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『吾輩ハ猫デアル』装丁案

2016年1月23日から開催中の特別展「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」は展示替えを行い、2月16日(火)より後期「ish編」を開催しています。
コズフィッシュ20世紀書庫が21世紀書庫へと様変わり。
金属活字から写真植字、そしてDTPへと、1980年代以降印刷技術はどんどん変化してきましたが、技術の発展に伴い変化するデザイン、変わらないデザインと、さまざまな顔を目撃することになるでしょう。
また『心』新装版の創作過程を、漱石自筆原画などを基に紹介する漱石部屋。後期では現在まさに制作途中にある『吾輩ハ猫デアル』新装版を中心に紹介します。橋口五葉による斬新で心ときめく装丁の初版本と袖珍本――祖父江氏による新装版は五葉の意をくんだものになります。五葉のデザインと、これまでに出版された数々の『吾輩は猫である』を研究しつくした結果が反映されたユニークな展示となります。
前期から更にパワーアップしたコズフィッシュワールドを是非お楽しみください。

開催概要

  • 会期:2016年1月23日(土)から2016年3月23日(水)
    休館日 2月15日(月)、3月21日(月、祝)
    前期「cozf編」:1月23日(土)から2月14日(日)
    後期「ish編」:2月16日(火)から3月23日(水)
  • 観覧時間:平日 午前10時から午後8時、土曜 午前10時から午後7時、
    日祝 午前10時から午後5時(入室は閉室の30分前まで)
  • 会場:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
  • 観覧料:一般300円、大学・高校生200円
    千代田区民・中学生以下、障害者手帳をお持ちの方 および付き添いの方1名は無料
    住所が確認できるもの、学生証、障害者手帳をお持ちください。
  • 主催:千代田区立日比谷図書文化館
  • 協催:公益財団法人 DNP文化振興財団

本展のみどころ

吉田戦車『伝染るんです。』(小学館1990年).jpg

本がどのように作られるのか、アイデア・プラン出しから始まってそれらを実現するための試行錯誤を、本に使われる紙や本の構造、印刷方法から製本まで、祖父江氏が実際にデザインした本を例に盛りだくさんでお届け。また多くの日本人に馴染みのある夏目漱石『心』『吾輩ハ猫デアル』新装版の制作プロセスを細かく紹介。『心』装丁のために漱石自身が描いた装画や初版本のゲラなど、貴重な漱石自筆作品も展示されます。

展示構成

漱石『心』(岩波書店 2014年)2.jpg
  • コズフィッシュの書庫
    前期「cozf編」=20世紀の書庫
    後期 「ish編」=21世紀の書庫
    祖父江慎+コズフィッシュによる約2,000冊におよぶ全装丁本を前後期に分けて展示。
  • 本の実験室
    アイデア・プラン、紙(素材)、書体、本の構造、色と網点/加工/本の寿命(印刷・製本)等のコーナーにより本造りのさまざまな工程を紹介。
  • 漱石室
    『心』『吾輩ハ猫デアル』新装版展示室。現在制作中の『吾輩ハ猫デアル』の完成形は後期展示でお目見え。

かなバンク「ツルコズ」フォント タイプバンク2012
かなバンク「ツルコズ」フォント タイプバンク2012
前期展示の様子(コズフィッシュの書庫)
前期展示の様子(コズフィッシュの書庫)

プロフィール

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祖父江 慎(そぶえ しん)

グラフィックデザイナー。コズフィッシュ代表。1959年愛知県生まれ。多摩美術大学に入学するが、杉浦康平に憧れ、在学中の1981年から工作舎でアルバイトを始め、大学中退。在学中は漫画研究会に所属、先輩にしりあがり寿、喜国雅彦がいた。1987年工作舎退社。秋元康が設立した株式会社フォーセールでアートディレクターを務め、1988年独立。1990年コズフィッシュ設立。人文書、小説、漫画などの書籍の装丁やデザインを幅広く手がける。吉田戦車の漫画本をはじめとして、意図的な乱丁や斜めの断裁など、装丁の常識を覆すデザインで注目を集める。近年、「スヌーピー展」「エヴァンゲリオン展」「ゲゲゲ展」「ゴーゴーミッフィー展」など、展覧会のグラフィック、アートディレクションを手がけることも多く、展覧会グッズでは独特の感性を爆発させたユニークな商品を開発している。

関連イベント

対談<終了しました>

「造本あれこれそれ話」

現在第一線で活躍するグラフィックデザイナー、祖父江慎氏と白井敬尚氏。同世代で、同じく出版を中心に仕事をする二人だが、各々のつくり出すブックデザインはまったくタイプが異なり、一見デザインへのアプローチの仕方がまったく違うように見えます。そんなお二人に造本に対する考え方を語っていただきます。

日 時:2月18日(木)午後6時30分から8時(午後6時開場)
出 演:祖父江慎(グラフィックデザイナー)
白井敬尚(グラフィックデザイナー/武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授)

鼎談<終了しました>

「漱石本制作の舞台裏」

昨年、祖父江氏の装丁デザインにより新装された夏目漱石著『心』(岩波書店/2014年)や、現在制作中の『吾輩ハ猫デアル』(岩波書店/2016年3月刊行予定)について、祖父江氏と岩波書店の担当編集者および製作部の方を講師に迎え、新装版制作時の裏話や見どころについて語っていただきます。

日 時:3月10日(木)午後6時30分から8時(午後6時開場)
出 演:祖父江慎(グラフィックデザイナー)
渡部朝香(岩波書店単行本編集部)
前田耕作(岩波書店製作部)

ツアー「祖父江さんと行く 大日本印刷工場見学」

日 時:2月2日(火)午後1時から5時
集合場所:JR宇都宮線「白岡駅」
参加費:無料