としょかんのこしょてん VOL.58 「読む」落語の世界

 千代田図書館内の一角に設けられた、神田古書店連盟との連携展示・出張古書店コーナー「としょかんのこしょてん VOL.58」のご案内です。
 今回は、芸能関係書などを扱う藝林荘が担当し「"読む"落語の世界」と題して、明治から現代までの落語速記本など20点を展示・販売(仲介)いたします。

 「本の街」神田神保町 オフィシャルサイトBOOK TOWN じんぼうでも紹介されています。

としょかんのこしょてん VOL .58 「読む」落語の世界

会期

2012年11月13日(火)~12月24日(月・祝)/予定

場所

千代田図書館9階 出張古書店コーナー

担当

藝林荘 (営業時間 10:00~16:00/日曜・祝日定休)

 一般的には落語は「聴く」演芸です。実際ラジオで聴いた経験がある方は多いはずですし、寄席にも「聴きに」行くものです。しかし古書の世界を見ると、高度成長期頃までは落語本が続々刊行されていて、普通に読み物の1ジャンルだったことが分かります。落語は「聴く」だけでなく「読む」娯楽としても立派に成り立っていました。
 また、明治期には、落語速記本は、標準語や新しい時代の空気を伝える媒体としても大活躍していました。たとえば、初代三遊亭圓朝が明治11年に作った『塩原多助一代記』は、約12万部も発行されています。明治時代一番のベストセラー『学問のすすめ』が、1編当り約20万部、『吾輩は猫である』上巻は発売後10年で3万6千部、といった数字と比較してみますと、「読む」落語が広く浸透していたことがうかがえます。
 そのような明治期の落語本や近年の落語本、合わせて昭和の名人所縁の品々を並べてみましたので御笑覧ください。また、ここには展示していませんが、2000年以降の落語も、読んでも楽しいですよ。

出品リスト

1 牡丹灯籠 三遊亭圓朝
(坪内逍遥序文)
再版
牡丹灯籠 三遊亭圓朝 100版 明治40年
2 塩原多助一代記 三遊亭圓朝 再版 明治22年
三遊一口ばなし 三遊亭花遊 明治23年
小さん新落語集 3代目柳家小さん 明治39年
3 東京自慢名物会 木版 明治29年
橘家圓喬落語集 四代橘家圓喬 明治43年
名人六花撰 桂文楽 木版 山藤章二
八代目桂文楽 表札 非売品
5 色紙 他抜 五代目柳家小さん
手ぬぐい 五代目柳家小さん
6 タヌキ粘土像 五代目柳家小さん 非売品
色紙 多福他抜 五代目柳家小さん
7 古典落語 興津要編 講談社文庫
創作落語論 五代目柳家つばめ 三一書房 昭和47年
草稿 五代目柳家つばめ
8 葉書 立川談志
現代落語論 立川談志 三一書房 昭和40年
新釈落語咄 立川談志 中央公論 平成7年
立川藤志楼傑作落語選集 高田文夫 太田出版 平成元年