佐宗美邦の世界
表現者は、表現できる強烈な立場にあるがゆえに、被表現者に対して責任ある意思表示をしなければならない場合があります。しかし、先の大戦では多くの文学者や画家、音楽家や言論人までが、大きなうねりにその本来の役割を放棄し、そして沈黙させられたのです。ここに紹介するひとりの画家、佐宗美邦。戦前、戦中、戦後の彼のモチ-フや画風を通して、私たちは表現の自由と、世相にみる表現の制約について考えることもできるのです。童画、戦争画、風刺画、仏画を介して。
会期 | 2013年10月24日(木)~11月26日(火) |
場所 | 千代田図書館9階=出張古書店コーナー |
担当 | 水平書館/在日関係、部落問題、アイヌ、沖縄関係、障害者問題、女性問題、環境問題、社会科学 |
出張古書店コーナー「としょかんのこしょてん」とは・・・神田古書店連盟との連携展示です。担当古書店の方が、自店の商品をもとに、展示タイトルや内容、キャプションなどを考えており、古書店の商品を1つのテーマに沿って見られる貴重な機会です。
佐宗美那 さそう よしくに 1914~2003 東京生 画家・漫画家
佐宗は千代田区とちょっとした関わりがあります。たとえば、「週刊千代田」連載の『笑天地』に漫画挿絵を描き、川上三太郎と組んだ東京巡り漫歩柳行で「神田は思ひ出の街歩き」などの絵を作成しているのです。戦前は横山隆一、近藤日出造の先輩漫画家ら20人と先進的な新漫画派集団を結成します。しかし、後進の新日本漫画家協会は翼賛体制に協力的な表現者集団と化し、終戦直後に改称した漫画集団も、正常な創作活動のなかで過去を自己批判することはありませんでした。その後、全盛を極める少年漫画や劇画へ移行する前のわずかなエポックに集団は滞在し、佐宗の姿も見られるのです。晩年の彼は仏画中心の活動に専念します。
出品リスト
全11点 ※出品内容は予告なく変更になる場合があります。
佐宗美那
1 直筆画人訓原稿7枚(毛筆) ¥10,000
2 戦争関連画稿(軍情報局提出画、防空風景、上野テント村スケッチ画帖他)¥50,000
3 漫画挿絵画稿496枚(週刊千代田『笑天地』掲載画) ¥80,000
4 もろもろ画稿(風刺漫画、軍人画、歌舞伎画、寺社画ほか多数) ¥50,000
5 五コマ漫画画稿28枚 ¥30,000
6 絵本「コブタトラッパ」(手作り) ¥30,000
7 絵本「コブタノウエン」(手作り) ¥30,000
8 油絵(花瓶さし花)25×20cm ①②③三種類 各¥10,000
9 油絵(風景)20×13cm ①②二種類 各¥10,000
10 画帖11冊分(裸婦画、風景画、デッサン画ほか多数)30×23㎝ ¥80,000
11 東京巡り漫歩柳行「神田は思ひ出の街歩き」原稿400字×6枚(毛筆)貼付水彩画1枚135×35㎝ ¥30,000