図書展示「アフリカを知る~『闇の奥』から」
(日比谷カレッジ「アフリカを知る夕べ」関連展示)

名作『闇の奥』から広がる世界

アフリカ奥地に挑む船乗りマーロウの旅を描いた、英文学の巨匠ジョウゼフ・コンラッド(1857-1924)の傑作『闇の奥』(1902)はなぜ人々を惹きつけるのか? 

映画「地獄の黙示録」の原作としても知られる『闇の奥』はF.コッポラ監督のみならず、フランツ・カフカやT.S.エリオット、さらに村上春樹など、後世に実に大きな影響を与えてきました。この名作を入口に、異分野の講師を迎えて繰り広げる日比谷カレッジの世界に誘います。  

コンラッドはポーランド(現・ウクライナ)の地主貴族の家に生まれますが、5歳のとき父親の独立運動関与の廉で一家はロシア北部に流刑、12歳で孤児となり、伯父の下で育ちます。

英仏文学翻訳者で詩人でもあった父の影響で、幼少時からポーランドの古典に親しみ、シェイクスピアやディケンズ、ヴィクトル・ユゴーをポーランド語やフランス語で読んでいました。海洋冒険小説や航海記との出会いはコンラッドに船乗りへの願望を植えつけました。

船員に憧れたコンラッドは17歳で単身マルセイユに渡り、フランス船の見習いとなり、37歳まで20年を仏英の商船等で世界各地を航海します。それはまさに欧州の植民地主義と帝国主義の最盛期でした。

32歳のコンラッドはアフリカ・コンゴ自由国に向かう船長の職を得て、アフリカ奥地に到達。そこで見た過酷な植民地統治の現実。この間の経験見聞が後のコンラッドの文学に結実します。

この展示ではまず、コンラッドが代表作『闇の奥』を執筆するまでを辿り、アフリカを目指すきっかけとなった人物や書物、コンラッドの作品や関連書、舞台となったアフリカに関する本を交えて紹介します。

航海記・旅行記・旅の考現学

今回の日比谷カレッジは、2024年9月20日に開催した日比谷カレッジ「柴田元幸さん、原田範行さんと出かける『ガリバー旅行記』架空ツアー」の第二弾でもあり、英文学の原田範行教授を再びお迎えします。今回のテーマ「『闇の奥』、アフリカ、旅の考現学」にあわせて、講師による航海記や旅行記に関する著作や「旅の考現学」にちなむ本が並びます。

食料問題や飢餓状況を考える本・WFPおすすめ本

さらに今回の日比谷カレッジ「アフリカを知る夕べ」では、『闇の奥』の舞台となったアフリカ・コンゴの今についても学ぼうと、実際に現地でくらし食料支援に携わった経験をもつ国連世界食糧計画WFPの津村康博日本代表をお迎えします。食料問題を考えるヒントとなる本やWFP日本事務所のスタッフの皆さんのおすすめ本も並べています。

名作『闇の奥』を入口に、多様な切り口をお届けします。   

■ コンラッドの作品や関連本 ■ 19世紀にアフリカ・ブームをつくった本 ■ 航海記や旅行記の世界 ■ コンラッドが親しんだ海洋冒険小説や同時代の作品 ■食料不安や飢餓をまなぶ本 ■WFPおすすめ本 ■アフリカをまなぶ本 など

基本情報

会期

2025年1月22日(水曜日)~2025年3月29日(土曜日)

開催場所

日比谷図書文化館

会場

3階 エレベーターホール

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展示の様子2
展示の様子3
展示の様子4
展示の様子5

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