後世に大きな影響を与えた『闇の奥』、舞台はアフリカ・コンゴ
アフリカ奥地に挑む船乗りマーロウの旅
アフリカ奥地に挑む船乗りマーロウの旅を描いた、巨匠ジョウゼフ・コンラッド(1857-1924)の傑作『闇の奥』(1899年発表、1902年刊行)はなぜ人々を惹きつけるのか?
『闇の奥』は映画「地獄の黙示録」の原作としても知られ、フランツ・カフカやT.S.エリオットをはじめ、コッポラ監督や村上春樹など、後世に大きな影響を与えてきました。
異分野の専門家が作品とその舞台を多角的にアプローチ
名作『闇の奥』とアフリカをキーワードに、異分野のお二人の講師をお迎えして多角的に学ぶ「アフリカを知る夕べ」。
ポーランド(現ウクライナ)で生まれたコンラッドは、欧州の植民地主義と帝国主義の最盛期に船員として働き、英語は20歳を過ぎてから身につけイギリス国籍を取得。その彼がイギリス文学史上類例のない小説を英語で発表し、巨匠コンラッドの地位を得ていく。なぜできたのか?この作品を書かせた外部的誘引は?そして舞台となったアフリカ・コンゴは今、どんな所なのか?
前半は『闇の奥』の作品と背景を英文学の原田範行さんが解説
アフリカ奥地に挑む船乗りマーロウの旅はどう描かれたのか?前半は作品と背景について解説します。そして文学に現れたアフリカを歴史軸とともにグローバルに読み解き、言語が織りなす旅の考現学に迫ります。
後半はWFPの津村康博さんがアフリカ・コンゴの今を報告
後半は『闇の奥』の舞台となったアフリカ・コンゴの今を、国連職員としてアフリカ6か国で食料支援に携わり、現地(コンゴ民主共和国)で生活した経験をもつ講師がレポートします。
名作『闇の奥』を入口に、注目のアフリカを学ぶ
一冊の本から、人間の心の「奥」や地球の「今後」を考える日比谷カレッジ。2025年8月、横浜ではアフリカ開発会議(TICAD 9)も開催され、注目のアフリカ。この機会にアフリカに関心を広げてみませんか?最後に「異分野対談」と質疑応答の時間を設けます。
スケジュール 2025年2月21日(金曜日)19時~21時
前半:原田 範行さん「『闇の奥』、アフリカ、旅の考現学」
アフリカを舞台に英語で書かれた現代イギリス小説は、実は少なくありません。フランシス・フォード・コッポラ監督による傑作映画『地獄の黙示録』(1979)の原作としても知られるジョウゼフ・コンラッドの『闇の奥』(1902)もそのひとつで、舞台はアフリカのコンゴ。登場人物が体験する冒険の過程で、私たち読者の心の奥にある「襞(ひだ)」の一枚一枚がさまざまな姿で浮かび上がってきます。
脅威と驚異、闇と光、絶望と救いーーアフリカを舞台に言語が織りなす旅の考現学に迫ってみましょう。
後半:津村 康博さん「『闇の奥』120年後、WFPの人道・開発支援の現場からみえるアフリカの今」
国連で唯一の食料支援機関、「WFP国連世界食糧計画」の職員として15年にわたりアフリカ大陸6か国に勤務。
今、世界の飢餓のレベルは15年前の水準に後戻りしており、約7億5700万人の人々が慢性的な飢餓に直面しています。実は、その8割がアフリカと南アジアに集中しているのです。「誰一人取り残さない」世界のために、日本から何ができるのでしょう。『闇の奥』の120年後、アフリカ・コンゴをメインに食料不安、「飢餓」状況についてお話しします。
対談と質疑応答
・途中、檀上レイアウト変更時に若干のブレイクを予定(変更あり)
原田範行さんには日比谷カレッジ「柴田元幸さん、原田範行さんと出かける『ガリバー旅行記』架空ツアー」(2024年9月20日開催)にもご登壇いただきました。
今回とりあげる『闇の奥』は、そのとき柴田元幸さんに「旅の本」としてお薦めいただいた一冊で、本企画はここから始まりました。
関連展示のご案内
「アフリカを知る~『闇の奥』から」
カテゴリ:
- 本
基本情報
開催日時
2025年2月21日(金曜日)
午後7時~午後9時
開催場所
日比谷図書文化館
開場時間
午後6時30分
会場
地下1階
日比谷コンベンションホール(大ホール)
講師:原田 範行 (慶應義塾大学文学部教授、日本学術会議会員、元日本英文学会会長)

■原田 範行(はらだ のりゆき)
1963年生まれ。1994年、慶應義塾大学大学院博士課程(英米文学専攻)修了。博士(文学)。専門は近現代イギリス文学、出版文化史、比較文化論。主な著・訳書に『風刺文学の白眉ー「ガリバー旅行記」とその時代』、『「ガリバー旅行記」徹底注釈』(共著)、『ビジュアル版ガリヴァー旅行記』(2004年厚生労働大臣表彰)、『スウィフト風刺論集』、『フォルモサ』、『クック 南半球周航記』、『バイロン、ロバートソン、カートレット 南太平洋発見航海記』、『新しい世界への旅立ち』(共著)、『図説 本と人の歴史事典』(共著)、“The First Wit of the Age”: Jonathan Swift and His Contemporaries(共著)、Aspects of British Culture(共著)、Robinson Crusoe in Asia(共著)、Johnson in Japan(共著)、Recent Scholarship on Japan(共著)など。
講師:津村 康博(WFP(国連世界食糧計画)日本事務所代表)

■津村 康博(つむら やすひろ)
民間企業・団体を経て、1998年から27年間、WFP(国連世界食糧計画)に勤務。イタリア・ローマ本部を皮切りにコソボ、日本(WFP日本事務所)、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、セネガル(西アフリカ地域局)、モーリタニア、シネラレオネ、ガンビアなど9か国を拠点にWFP活動に携わる。そのうちアフリカでの勤務は15年におよぶ。担当分野は、本部や連絡事務所での連携促進、政策調整から、現地食料支援活動の調整、災害準備対応と緊急支援活動、農村自立促進プロジェクト実施管理、現地事務所における管理職(代表職:ガンビア、副代表:モーリタニアおよびシエラレオネ)にわたる。2023年7月より現職。

詳細情報
定員 | 200名(事前申込順、定員に達し次第締切) |
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参加費 | 2,000円 (学生1,000円)※学生の方は学生証をお持ちください |
お申し込み方法 | 電話(03‐3502‐3340)、ご来館(1階受付)、お申し込みフォームのいずれかにて、①講座名(または講演会名)、②お名前(よみがな)、③電話番号、④メールアドレス(ホームページからお申し込みの場合)をご連絡ください。 *小学生以下のお子さまが参加される場合、保護者の同伴が必要です。(同伴者の方にも参加費が必要です) |
ご来館の皆様へお願い | 体調のすぐれない(発熱、咳、倦怠感など)場合は、ご来館をご遠慮ください。 |
お問い合わせ | 日比谷図書文化館 03-3502-3340(代表) |
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